うすぼんやり日記
ZABADAK吉良知彦のブログです。
みちのくへ。
再び東北へ向かう。
今回は鹿角市教育委員会に招かれ成人式で新成人を前にZABADAKとRivendellで演奏する、
ということなのである。
鹿角に午前11時入り、は当日では無理なので前日に安比高原に一泊する。
それでも朝5時出発の強行軍である。
遠足前の子供の気分、プラス思う所あってここしばらく禁酒しているのも理由だろうか、
なんだか全く眠れず、徹夜明けのママ朝の首都高を走る。
朝焼けが実に気持ちいいのだが、ときおり気が遠くなって危なくってしょうがないので木村
林太郎くんに運転を代わってもらう。
おおにぎわいの小岩井牧場によったりした。
樹にくっついていたイラガの幼虫をいじめていたら刺された。
暑さと眠さでクラクラするのに、車の中での仮眠、ができない。
4時頃、高原の宿に着く。
涼しい!
やれうれしやこれで昼寝が出来るぞ、と思い、部屋で横になるのだが目は冴えている。
えー!こんなにねむいのに?
なーんかカラダが眠り方わすれてしまったようであるよ。
しかたないので近所の虫探索をする。
空を見上げると、うわ!
すこし小降りの雪ほどの数の赤とんぼが飛び交っている。
耳を澄ますとサパサパ、カサカサ、シキシキ、いろんな羽音が聞こえて来る。
ブンッと時折勢いの良い音が聞こえてそれはヤンマがなにか獲物をねらって急旋回する音な
のだった。
夏の夕暮れ、空はトンボ族の独壇場だった。
他にめぼしい昆虫も見つからず、夕焼けや飛行機雲をぼんやりと眺めていたら夕食だよ、
と連絡が入った。
禁酒中だってビールは飲みたい。
こんな人のためにFREEという飲み物がある。
アルコールはまったく入っていないにもかかわらず良く冷えたこいつをぐぐっといくと、
ほとんどビールと錯覚出来る、という有難い飲み物である。
何本かあけるとすこし酔ったような気分になるのだが、これは寝不足のなせるワザだろうか。
ともかく僕だけノンアルコールビール、でも夕餉はそれなりにたのしく終わった。
後は風呂に入って寝るばかりなのだが、いっこうに眠気がやってこない。
かれこれ50時間近く起きていることになる。
明日はライブだ。
こりゃあやばいので睡眠薬の助けを借りた。
クスリを飲んでアイマスクをして、目の前を行き来するゲンゴロウやミズスマシをひとつづ
つ数えていたらいつのまにかついに、眠ったようだ。
翌日、いつにないさわやかな目覚めであった。
旅先でお酒の残っていない朝を迎えるのは、大人になって数える程しか無い。
朝風呂を浴びて朝食もしっかり食べて、スキップしそうなほど軽やかに車に乗り込む。
さあ、鹿角に出発だ。
鹿角市は林太郎くんにゆかりの深い場所で、今回もその縁で僕たちが呼ばれた。
成人式で歌う、というのも初めてだが、教育委員会に招かれて、というのももちろん初めて
のことである。
教育委員長に名刺など渡されて挨拶されて、なんだか不思議な具合である。
成人式、である。
いるかな、と思っていたらいた。
白い羽織に身を固め扇子などをふりまわしている一団のヤンキー系新成人!
あの人たちがライブ中どうなるのかすこしわくわくした。
「何があっても淡々と演奏を続けようね。」などと覚悟を決めたりするうちに式は始まり、
トドコオリなく終わり、ぼくらの出番である。
紹介されて緊張の面持ちで舞台に上がると、なんだ、白羽織の一団はどっか行ってしまって
いた。
初めざわざわしていたが曲が進むに連れて会場は静かになり、わりとふつうなコンサートに
なった。
最後「夢を見る方法」でエンディングを決めると大きな拍手が起こったので俺はいい気にな
っていつもの感じでピックを客席に向かって投げ入れた。
よけられた。
2、3人の新成人女子があきらかに俺の投げたピックをよけたのを見て、あ、やっぱアウェ
イだったのね、と我に帰った。
でもまあ、よかったのではないでしょうか。
引き分けくらいな感じで、よしとしましょう。
今日中に東京にもどる小峰公子を送るためにそうそうに会場を後にする。
少し時間があったので大湯のストーンサークルに寄った。
ここは木村林太郎くんの曾おじいさまの尽力で発掘、保存された東北地方指折りの縄文遺跡
であるそうだ。
素晴らしく手入れの行き届いた敷地内に五千余りの石の塊が円を描いて並べられている。
その周りに屋根の葺かれた東屋風の建物が点在している。
むこうには大きな柱が二重の円を描いて立てられていたり、更に巨大な柱が一直線上になら
んで屹立したりしている。
静かで異様な迫力を持ったふしぎな空間だった。
時間の来た小峰公子を南十和田駅におくり、夕食を済ませたRivendellのふたりと僕と
は夜にまたここに来て、寝転がって星を眺めたりした。
すばらしい体験だった。
地平線まで遮る建物の無い丸い夜空を、縄文遺跡の中でひとりじめ(3人占め)だあ。
2度程流れ星がながれた。
縄文人としばし時をすごしていたら顔を蚊に食われた。
翌日、三たびストーンサークルを訪れ、こんどは学芸員のかたに詳しい説明をしていただい
た。
知って見ると「ストーンヘンジとかに比べるとちっちぇえな。」などと思っていたごろた石
が、深い思慮と叡智のあげくにこういう形で並べられているのだなあ、と改めて感動させら
れた。
すごいな、鹿角!すごいな、東北!
帰りの高速は仙台までがとても永い。
しかし、この膨大な面積がわれわれのご先祖様を厳しくもやさしくつちかったのだなあ、
と思うと、ゆたかな緑がたいそういとおしいものに思えてくる。
そしていかにも多様で豊富な昆虫をも育んでいそうな森は、いつかじっくりと良い季節にと
ことん分け入ってみたいな、とそっち方面の情熱もふつふつとたぎって来るのだった。
2009/08/18(火) 19:59:26
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ZABADAK
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コメント
うらやましすぎる成人式
成人式でzabadakが演奏してくださるなんて、うらやましすぎます!いいですねぇ。
もう少しで二度目の成人式がやってくる年齢ですが、
大人になってよかったこと:zabadakのライブに行けるようになったこと。
引っ越し(転職)してよかったこと:zabadakのライブに行けるようになったこと。
私が高校生のときに「のれんわけ」され、それからもずっとずっと拝聴しており、楽しませていただいております。
先の「晴れ豆」も「アンリ・ファーブル」もお邪魔しました。とても素晴らしかったです。いつも感動の嵐です。ありがとうございました。
2009/08/18(火) 21:02:46 |
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アサギ #-
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]
みずうみ?
……なのでしょうか、最後の写真!
みちのくの素敵な風景を垣間見る事ができて、嬉しいです(嗚呼、旅をしたい)
それに、縄文の遺跡はミステリアスです。
いにしえの人たちが築いたものが、まだこうして伝わっていることに感謝ですね!!
私も、なんにもない、まるい地平にねっころびたいものです:D
2009/08/18(火) 21:44:45 |
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まめかん #-
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]
アサギさん、そうですね。
おとなになって、ひとりぼっちになって、僕は全てがそこから始まりました。
まめかんさん、湖です。
先週の琵琶湖とは表情のまるで異なる十和田湖です。
十和田湖のみずは静かで透明で無口でした。
2009/08/18(火) 22:30:42 |
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吉良知彦 #-
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]
おかえりなさい
東北のひんやりとした空気と音を想像しながら読んでました。
ストーンサークルって日本にもあったなんて、知らなかったです。
縄文人と同じ夜空を見上げてらしたのですね。
そういえば、まあるい夜空はプラネタリウムでしか見たことないような……。
鹿角にはなかなか行かれませんが、今度こそは!!
と、写真を見てさらに思うのでした。
2009/08/19(水) 01:52:06 |
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chiyo #PTykApIo
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]
お疲れさまでした。
鹿角ライブ、お疲れさまでした。
母と二人で行きましたが、とっても素晴らしかったです。
母も私も大満足なライブでした。
岩手にも寄られたそうでなんだか嬉しいです。いつの日か是非東北での虫探しを実現なさってください。
青森の虫も凄いそうですよ!
2009/08/19(水) 02:12:37 |
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猫又 #-
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]
chiyo さん、ストーンサークル、民族は違っても出来た頃は大体同じだそうです!。
土木工事というよりお互いの親交を深めるための行事だった、などという説もあるそうです。
一万年以上続き、一度も戦争の無かった時代・・・。
猫又さん、来年は!
7月のもっと早い時期に盛岡ライブをやって、そのあとゼフ観光したいです!します、しますとも!!!
んでもってストーンサークルライブなども!
2009/08/19(水) 03:38:37 |
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吉良知彦 #-
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]
ありがとうございます。
吉良さんご本人からコメントをいただけると思っていなかったので、とってもうれしかったです! ありがとうございます。
鹿角市成人式でのコンサート、無事に終わったようで…、お疲れ様でした♪
その後、大湯ストーンサークルや十和田湖にも行かれたんですね。それもまたうれしいです! なぜかというと、私は鹿角市の中のまさに“大湯”の出身だからです!! 小学生の時、なべっこ遠足でストーンサークルに行きましたよ。その頃はまだきれいに整備されていなかったけど…。今では展示施設なんかもあるんですね~。『十和田湖~十和田南』間の路線バスに乗ると、途中でストーンサークルの案内が流れたのを覚えています。
「(十和田湖に向かう時は)右の高台を中通(なかどおり)と申しまして、先住民族が集団居住した遺跡がございます。大小さまざまな石を円く並べ、中には日時計のような形をしたものもございます。」
こんな内容だったかな? 中学に通う時、路線バスに乗るとこのテープに合わせて暗唱する同級生がいました。
「遠い音楽」なんて幻想的な感じで、“ストーンサークルライブ”にいいかも♪ その時は是非私も聴きに行きたいです!
ではまた(^o^)/~
2009/08/19(水) 16:27:53 |
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ゆゆゆ #-
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